映画・テレビ

2021年3月30日 (火)

「ノマドランド」

見たかった映画「ノマドランド」を中洲大洋にて。
原作「ノマド 漂流する高齢労働者たち」というノンフィクションを
映画化したもので、驚いたことにノマドとして出演している人は
本当にノマド(現代の遊牧民)として暮らしている方々だそう。
フランシス・マクドーマンドが亡くなった夫の想い出と共にキャンピング
カーで季節労働をしながら旅を続ける主人公を演じています。
彼女でしかこの役は出来ないと思わせる圧倒的な存在感。
年齢を重ねて益々、突き抜けてるような方。誰も追えない。

アメリカ西部の広大なる風景は息を飲むほど美しくもあり、厳しくもあり
駐車場所や仕事を求めて流れていくノマドという人々の姿がそこに重な
ると言い表せないような複雑な思いが込み上げました。
一概に貧困の為、住む場所がないというのでもなく、、
一概に束縛を好まず自由でいたいというのでもなく、、
高齢になって旅を続けるのは過酷に映るけれど、居心地の悪い場所で
死んだように生きるよりも「生きている」という歓びのような実感が
あるのだろうか?
只、旅はそれぞれ一人でしてても色んな場所でふとした再会が
あったり助け合ったりと横のつながりがあることに気持ちが
救われました。
こうゆう世界があることが驚きでもあります。
心では放浪に憧れつつも、実際には決して出来ないから。
映画は色んな世界を見せてくれますね。

 

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2021年2月19日 (金)

「すばらしき世界」

西川美和さんが監督をされた映画の公開が始まると、いつも
ソワソワしてくる。そして気が付いたら、劇場に足を運んで
しまってる。色んな所で上映されているけれど、贔屓にしたい
中洲大洋で見てきた。

原作は佐木隆三さんの「身分帳」。廃版になっていたけど
今回の映画化で再販になったそう。読んでみたい。
この映画を見て思ったのは、人は多面的だということ。
ひとりの人間の中に陰もあり、陽もある。社会だけが悪なのでは
なくて、人間の弱さが悪を呼ぶことだってある。
綺麗ごとじゃないと思う。
でも本当に人生をやり直そうとしている人がいたら、排除するのでは
なくて、手を差し伸べてあげる世界の方がいいのに決まってる。
見ない振りして通り過ぎるのが今の社会だと思うから。
寂しい社会だと思うから。
我がことのように人の再起を願える人が何処かに確かにいる
社会であって欲しいと思う。

役所広司さんはもちろんのこと、出ている役者さんがそれぞれの
場所できっちり仕事されていて、流石。

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2021年1月20日 (水)

「チャンシルさんには福が多いね」

今年最初の映画はこの映画が初の長編作品となるキム・チョヒさんの
「チャンシルさんには福が多いね」をキノ・シネマにて。

監督がご自身を投影していると言われている物語りの主人公は
映画に人生を捧げてきて気が付けばアラフォー。突然の失職。
わが身を見ればお金も男も子供もなし。
笑えないような状況だけど、画面から伝わるのはほんわかとした
可笑しみのようなものや悲劇の中にある滑稽さみたいなもの。

お話の中で大きな出来事は何も起こりません。
チャンシルが間借りしている大家さんとのやりとりやバイトさせて
もらってる(家政婦として)お家で出会った語学の先生との
やりとり。人との関わりの中で気づかされるのは
何も持っていないように見えるチャンシルさんが実は沢山の
福を持ってるってこと。
人によってははひどく退屈な映画になるかもしれません。
でも私にはこのゆるくてクスっと笑える映画がとても心地良かった。
強くて強烈に心をかき乱すものより綿毛のような優しさが欲しい
時もあります。
チャンシルを演じていた女優さん、カン・マルグム。地味だけど
凄く良かった。彼女だからあの味わいが出せたのかもしれません。

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2020年1月18日 (土)

「パラサイト 半地下の家族」

2020年、初映画は中洲大洋にて「パラサイト 半地下の家族」を。
第72回のカンヌでパルムドールを受賞したポン・ジュノ監督の作
品です。
不思議なものでカンヌでパルムドールを取っても何だかこの映画を
見る気がしないと思っていたのに、、昨年暮れぐらいから心境が
少しづつ変化してきたのです。

私はポン・ジュノ監督の他の作品を見たことがないのに、何となく
この映画を先入観で想像していました。
私の浅い想像をはるかに超えて、これはある種のダークな
エンターテイメントだと思いました。笑いがあったかと
思うと、ぞっとするような怖ろしさがあったり
揶揄しているのはどっちなのだと振り回されたり
どぎつくて、目を背けたくて、
でも滑稽で愛おしかったり、、最後まで思わぬ展開が
待っています。
「そうゆう所に着地するんだ」と唸りました。

韓国語の勉強を始めて約4年半。言葉が耳で理解できる所が
増えてきたみたい。
言葉のもつニュアンスを知っていると面白さもちょっと
違ってくることに気が付きました。

劇場では実に沢山の映画が毎週のように封切られています。
そのほーんの一部しか見れないのだから
足を運んで見た映画の事は記録しておこうと、改心。

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2019年8月19日 (月)

「ライオン・キング」

「ライオン・キング」を大洋映画にて。
ついにあの「ライオン・キングを!」という感じ。
食わず嫌いというのでもないけれど
ディズニーの映画を劇場で見るってことがないままずっときて
おととし「美女と野獣」で、遅いデヴューを。

予告編を何度も見たので、実写でもアニメーションでもない
超実写版の凄さはある程度解っていたけれど、、、。
まるで現実の映像であるかのような美しい風景や動物たちの姿
小さな虫の動きに至るまで、信じられない程リアルです。

父のムサファが死んでしまうシーンでは涙が溢れ
ハイエナたちから逃げるシーンではハラハラし
イボイホシシやミーアキャットとのコミカルなシーンでは笑い
人生の指針とか、、そんな堅苦しい話は抜きで
エンターテイメントとして純粋に存分に楽しめました。
猫好き人間としては子ライオンのシンバが可愛くて、可愛くて
デレデレ。

何だか知らないけれど、ポケットの中が膨らんだような
気分で映画館を後にしました。

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2019年8月 3日 (土)

「よこがお」

久しぶりの邦画、「よこがお」をKBCシネマにて。

誠実に献身的に仕事をしていた訪問看護師の主人公が
甥が起こしたある事件をきっかけに
ねじまげられた真実と裏切り、嫉妬から人生の歯車が狂い始めて
ゆく。
犯罪者のように扱われ、仕事も失い、予定していた結婚も破談と、。
そして絶望の淵から彼女の別の顔が、、、。

なんとも怖い映画です。
一つには世間(マスコミ)という責任を負わない者たちが塊り
となって善悪の判断を誘導してしまうこと。
もう一つは人間の中にある闇の部分が暴走してしまう事もあり
えるという事。
主人公市子を演じていた筒井真理子さん、そしてキーパーソンを
役を演じていた市川実日子さん、お二人のセリフのない場面での
演技というか、細かな表情の変化から伝わってくるものが
しっかりとあって、本当に凄い女優さんだと思いました。
映画の終わり方って難しいと思うけれど
ハッピーでもアンハッピーでもなく、
主人公の市子はこれからを生きていかなければならないし
まだ終わっていないのだと、、そんなことを感じました。

次はちょっと楽しい感じの映画を見たいなぁ。
映画館を出ると、早次の映画の事考えてしまう。

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2019年5月 6日 (月)

「荒野にて」

KBCシネマにて「荒野にて」。
もう上映が終わってしまったかと心配したけど、9日まででセーフ
でした。

幼い頃母親が家出、愛情深いけれど自分の楽しみを優先してしまう
父との二人暮らしで主人公のチャーリーは自分の気持ちにどこか蓋
をしてるような少年です。
唯一生活を助けるために始めたことだけど、競走馬ピートの世話を
することが楽しみであり、そこに小さな居場所を見つけていました。
そんな中、父親が死んでしまいます。そして競走馬として価値のなく
なったピートの殺処分が決まります。
15才のチャーリーは夜にピートを連れ出し、一人と一頭で荒野へ。
ゆく先々で様々なことが、、、。

これが泣かずに見れますか?
はい、涙がとめどなく流れました。
荒野は息をのむ程美しい時もあるけれど
現実の社会は狡猾であり汚れているものだったりもします。
15才の少年の心細さが乗り移ったように胸が痛くなりました。
居場所を失ってしまい、無防備に放浪する姿が痛ましくて。。
主人公を演じるチャーリー・ブラマーがとても良いです。

原作は「Lean On Pete」
原作の序文にはスタインベックのこんな一文があると紹介されて
いました。
「確かに我々人間は弱く、病気にもかかり、醜く、耐え性のない
 生き物だ。だが本当にそれだけの存在であるとしたら、我々は
 何千年も前にこの地から消えていただろう」

希望を失いたくないですね。勇気も。

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2019年2月 6日 (水)

「バーニング 劇場版」

韓国の映画が続きますが、公開前から非常に楽しみに
ドキドキしながら待ってた「バーニング 劇場版」をKBCにて。

原作は村上春樹の「蛍・納屋を焼く・その他の短編」なのだけど
かなり昔に読んだせいではっきりしたストーリィが思い出せない
まま本編を見ました。
得体のしれないざわざわとした不安感と緊張感に支配されて
息を詰めて見入ってしまいました。
軽いようで重く、幻想的なようで、恐ろしい程リアル。
姿を現さない猫、無言電話、井戸の話、、様々なワードが伏線
なのかどうなのかも、、未消化のままイ・チャンドンの世界に
引きずり込まれます。
翻弄されるジョンス(ユ・アイン)の顔が切ない。
謎の男を演じるスティーブンン・ユァンもいいし、不思議な魅力を
放つ新人のチョン・ジョンソも。
澄んだ景色と対照的に3人の間にある見えない緊張の糸。
今を生きている人々の関係性もどこかそうなのかもしれない。

凄い作品だと思う。
でも、あのラスト解らないというか、うなずけない。
あの父、あの母、存在の消えた愛する人
小説家という夢に近づけない自分、、、そうであっても
ジョンスはそうするかな?
私には彼の中に怒りも狂気も見えなくてどこか諦めのように
この世界を見ていたような気がして。。
受け止め方はきっと様々。この上なく心をざわつかせる
映画であることに違いはないと思います。

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2019年1月 8日 (火)

「それだけが、僕の世界」

2019年初めての映画「それだけが、僕の世界」。KBCにて。

イ・ビョンホン演じる今は落ちぶれてしまった元ボクサーの兄は
幼いころ自分を置いて出て行ってしまった母と17年ぶりに
再会。その母は異父兄弟となる自閉症の弟と貧しいけれど
身を寄せ合って、、、自閉症の弟はサヴァン症候群で天才的な
ピアノの才能を持ち、、、何となく見ていない人でも想像できる
だろうか?
だけどストーリーはおおよその想像通りに展開しても
心を揺さぶられるのは役者の上手さ、演出の上手さなの
だろう。ハンカチが必要なくらい泣けました。
今注目しているパク・ジョンミンが弟役で、そしてこの人が
出たら味わいがぐんと深くなるユン・ヨジョンが母親役と
あっては見なきゃと思って行ったのだけど、、
イ・ビョンホンが心に傷を持つ不器用な男をサラリと
演じていて良い!意外、、と言ったら失礼だけど(^-^;

調べたら昨年は10本の映画を劇場で見ていて、今年は出来れ
ばそれを超えるくらい劇場に足を運びたいと思います。
格安で最速で行ける旅は映画館の中じゃないかな。
色んな国を旅しよう。色んな世界を見てみたい。

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2018年12月 1日 (土)

「ボヘミアン・ラプソディ」

私は熱心にクイーンの歌を聴く人ではありませんでした。
「ボヘミアン・ラプソディー」は凄い曲だなって思ったし
フレディ・マーキュリーは歌はうまいけれど、特異な人という
印象の方が強かったのだと思う。

クイーンの映画「ボヘミアン・ラプソディ」が大ヒットしていると
情報番組でやっていて、明らかに世代の違う20代の子が
今日で6回目とインタビューに答えているのを聞いて驚き
ました。今何故、クイーンなのだろう?そんなに観客を魅了
しているのは何なのだろう?
それまで見るつもりもなかったのに、ひょっとしたらこれは
見ておくべき映画なのかもしれないと、、。
今日さっそく行ってきました。

私はクイーンについて何も知らなかったんだと思いました。
彼らの紡ぎだす音楽の凄さも、、何も知っていなかったのだと。
ラストの1985/7のLIVE AIDのシーンは本当に圧巻でした。
鳥肌もの。涙してる人もいたけれど、、私は体中がきしきしと
痛みました。圧倒されて緊張していたのだと後で気が付き
ました。フレディの孤独な姿も見ていて辛かったけれど
決して不幸な人生ではないでしょう。短かったけれど、、。

あのTV番組を見てなかったら、通り過ぎていただろう映画。
この映画を見なかったら、知らなかった姿。音。
これも一期一会なのかな。見逃さずに出会えて良かった!

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