風が吹く

　　　　風が吹きぬけるから
　　　　　　　一瞬　痛みを忘れる
　　　　そして　生きていてよかった　と思う
　　　　望まなくとも　差し出されるものあり
　　　　当たり前のように受け取っていたことを
　　　　詫びたい　と思う
　　　　強く風が吹いて
　　　　衣を剥ぐ
　　　　ゆっくりと　私をほどく

もしあなたが今辛いなら

もしあなたが今辛いなら
　細い細い糸を想像してみて。
直径０．５ミリもないようなその細い糸が
　街路樹の上をすっーと延び
ビルの上を超え
　川を渡り　山を越え
風にそよぐ草原を進み
　緑の海上にキラメイテ
その細い糸の先端を
　掴んでいる人がいる、、と。
もしあなたが今辛いなら
あなたはいつだって
　　　　その糸を引けるということ。

今言っておきたいコト

ありがとう
　　　　　ありがとう
転んだ日も
くしゃみが止まらなかった日も
お皿を割った日も
味付けに失敗した日も
電車に乗り遅れた日も
ありがとう
　　　　　ありがとう
涙が流れる気配で目が覚めた朝も
夜遊びをして帰った時も
あなたは　とがめなかった
いつも　いつもどうり

ありがとう　ありがとう

１００万回くらい

　　１００万回くらい
　　「愛してる」　って言ったけど
　　愛の意味なんて　わからない
　　只只　あたなの気配がそこにあって
　　瞳に私が映るのが　嬉しいだけ

空を見ていた

　空を　見ていた
　　　　　　　　いつまでも　空を　見ていた
　下を向くのが　怖くて

　包んでくれるものが　
　　　　　　　　すぐそばにあることを
　少しずつ　思い出そうと　
　　　　　　　　いつまでも　空を　見ていた

　


　

先を歩く君の決意

　夜道の先をゆく君が　振り返る
　少し歩いて　クルッ　また少し歩いて　クルッ
　何度も
　何度も
　暗くて表情は　読み取れないけど、、
　「足元　気をつけて。」
　「ついてこれてる？」
　そんな声にならない言葉が　届く
　君は　先導しつつ　
　待っているのだろう
　この先が　どんな道のりだろうと
　ひとり　で歩いていけるように
　「嫌だ」と言っても
　「この先は　一人で、、、」
　頃合いをみて　
　そう　切り出すのだろう

夜に浮かぶ哀しみ

どおってことないよ　と笑っていた
傷ついてないよ　と笑っていた
ある日　突然　
号令がかかったように
いっせいの　涙
この広い世界に
涙のわけを説明できる人は
誰もいない　という孤独を知る


おぼろげな世界で　月もおぼろげ。

選手交代

ずっとずっと　お世話になってきたから
そろそろ　選手交代
私が　君を　守る
怖い思いも　イヤな思いも
させやしない
こじんまりした屋形船に　乗ったつもりで
おくつろぎ下さい

スキップしながら

  　　　スキップしながら　お買い物に出たら
　　　　帰り路がわからなくなっちゃった
　　　　迷路のような　商店街
　　　　アーケードを抜けて　アーケード
　　　　昔　あなたと行ったはんこ屋のおじさんが
　　　　哀れむような目で
　　　　あたしを見てた
　　　　スキップしながら　お買い物に出たのに
　　　　いつの間にか　
　　　　蚤の市で買ったお気に入りの買い物籠も
　　　　失くしてた
　　　　朝　目が覚めた時には
　　　　この上ない幸せ気分でいたのに
　　　　夕闇が迫る頃
　　　　私は　只の迷子になっていた

　　　　

愛の本質

　全身全霊　
　無防備に 身をゆだねる
　思惑も　かけひきもなく
  未来のことなんて　考えてないよね？
　君との
　このひと時を
　只　満喫するだけ